ビートチャイルド

海外で伝説のロックフェスと言うと、1969年にアメリカはニューヨーク州でおこなわれた「ウッドストック」を筆頭に幾つか存在しますが、日本で伝説のロックフェスと言うともうこれしかありません。1987年に熊本県阿蘇郡久木野村(現在の南阿蘇村)にできた野外劇場、アスペクタの杮落しとしておこなわれた「ビートチャイルド」です。

伝説のロックフェス:ビートチャイルド

ビートチャイルドは開演が午後6時、終了が翌朝6時という日本初のオールナイト野外フェスとしておこなわれました。そのため18歳以下の入場は禁止されたのですが、それでも3万人を予定していた入場者数は、前日までで既に7万人を超えていたと言われています。しかしこのロックフェスが伝説と言われるようになったのはその観客の人数だけが理由ではありません。

豪雨の中最後まで演奏したアーティストたち

天気予報は晴れだったと言われていますが、開演前に会場をスコールが襲い、いったんそれは止んだもののフェスが始まると再び降り出し、そしてそれは弱まるどころか時間が経つ毎に寧ろ強くなっていったのです。雷鳴の恐怖に怯えながらもフェスを楽しんでいたファンでしたが、時間と共に雨による寒さで体調不良を訴えるものが続出。200人以上のファンが救急搬送されることになります。しかしそんな状況でも全てのアーティストが演奏をおこない、夜明け前に最後のアーティストとして演奏を始めた佐野元春のステージ中についに雨は上がり、アーティストもファンも暖かい朝の日差しを一緒に浴びることとなったのです。野外フェスとして、果たしてこれ以上のフィナーレが一体存在するのでしょうか?

蘇るその映像

これほど話題になったロックフェスでありながら、ビートチャイルドの映像を見ることは長い間叶いませんでした。断片的には当時の地元テレビ局で編集版が放送されたり、またマザーエンタープライズという事務所に所属したアーティストのみの映像が「BEAT-CHILD FILM MOTHER ARTISTS EDITION」として九州各地のテレビ局で放送され、その後東京の渋谷公会堂でフィルムコンサートとして公開されたことはありました。またBOOWYや尾崎豊のビデオやDVDに、彼ら自身の演奏は収録されています。しかし全体通しての映像を見ることはできなかったのです。

しかし2013年についにマルチトラックのマスターテープが発見され、それによりドキュメンタリー映画「ベイビー大丈夫かっBEATCHILD1987」として総合的な映像が日の目を見ることになりました。長らく幻だったビートチャイルドというロックフェスに、多くの音楽ファンが改めて触れることが可能になったのです。